変形性膝関節症|人工膝関節置換術と効果的なリハビリについて徹底解説!

この記事で解決できること
  • 変形性膝関節症で行う人工膝関節置換術とはどんな手術なの?
  • 人工膝関節置換術を受ける人が行うリハビリの内容は?
  • 手術を受けた人が日常生活で注意することは?

変形性膝関節症などで膝の痛みが強く日常生活に支障が出る場合、人工膝関節置換術を受けることがあります。

手術なので、どんな手術をするのか?リハビリはどのくらい必要なのか?どんなリハビリをするのか?手術後の生活はどんな感じなるのか?など不安なことも多いかと思います。

この記事では、そんな疑問についてリハビリをしている側の視点からしっかりと解説していきますね。

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人工膝関節置換術の概要

人工膝関節置換術は、変形性膝関節症や関節リウマチなどにより、膝関節の痛みや動きの制限が生じた場合に行われる手術です。

この人工膝関節置換術の主な目的は、痛みの軽減と膝関節の機能回復です。

この手術を受けることで日常生活での動作が容易になり、生活の質が向上しますよ。

手術の適応となるのは膝関節の痛みが強く、薬物療法や理学療法といった他の治療方法では改善しない場合です。

人工膝関節とはどんなものなの?

人工膝関節全置換術のイメージ図

変形性膝関節症や関節リウマチなどにより膝に痛みを抱えたり、関節の動きに制限をきたしたりした場合、その傷んでしまった関節を人工の膝関節に置き換えます。

人工膝関節は金属やプラスチックなどの素材でできた人工関節がありますよ。

また病態や症状に合わせて、膝関節の全体を人工膝関節に置き換える人工膝関節全置換術(TKA)と膝関節の悪くなっている一部だけを人工関節に置き換える人工膝関節部分置換術(UKA)などがあります。

OT:はるまき
OT:はるまき

人工の関節なので耐用年数があります。

そのため手術を受けるのは一般的に若い人よりも高齢になってから受けることが多いですよ。

PT:あおさ君
PT:あおさ君

人工膝関節になると一般的には膝の曲がる角度は最大120°~130°となり、正座ができなくなるという点も知ってきましょう。

人工膝関節置換術のリスクと合併症は?

人工膝関節置換術には、いくつかのリスクと合併症が伴います。例えば術後に感染症や血栓が発生するリスクがありますよ。

また人工関節がゆるくなる、ずれる、あるいは周囲の骨が損傷する可能性もあります。

これらのリスクを最小限に抑えるためには、手術後のリハビリや定期的な診察が重要ですよ。

OT:はるまき
OT:はるまき

手術なのでそれなりのリスクを伴いますが、人工膝関節置換術を受けた後の方が膝の痛みが軽減し日常生活が楽になったという人も多いですよ。

では次に、人工膝関節置換術に対するリハビリテーションの効果や目標についてもご紹介しますね。

人工膝関節置換術に対するリハビリテーションの効果と目標

人工膝関節置換術を受ける場合、術前・術後のリハビリテーションは非常に重要です。

変形性膝関節症などで傷んだ軟骨を手術によって人工の膝関節に置換することで、痛みの軽減と動作能力の向上が期待できますが、それまでに起こっている活動量低下からの筋力低下や歩行能力の低下に対処する必要がありますよ。

人工膝関節置換術の身体機能の回復を促進するためにも術前や術後早期にリハビリを開始し、関節の動きと筋力の回復を促進することが大切です。

またリハビリの目的は手術後の炎症や痛みを緩和し、膝関節の機能を回復させることもあります。

PT:あおさ君
PT:あおさ君

手術後の痛みはもちろんありますが、痛みを見ながらリハビリスタッフが一緒に可動域の改善をサポートしますよ!

リハビリの期間はどのくらい?

人工膝関節置換術後のリハビリの期間は、個人差がありますが一般的にリハビリは数ヶ月にわたります。

術後直後から病院での入院生活中に理学療法士や作業療法士の指導のもと、基本的なトレーニングを開始します。

入院中のリハビリ期間は大体2~3週間くらいを目安としている施設が多いかと思います。

そして退院後も外来リハビリを継続し、筋力の増強や関節の可動性向上を目指すためトータルで1ヵ月~2カ月くらいは継続をすることが多いのではないでしょうか。

リハビリをする時の禁忌や注意点はある?

人工膝関節置換術後のリハビリにおいても、いくつかの禁忌事項が存在します。

例えば、術後早期には膝を過度に曲げる動作重い荷重をかける動作は避ける必要があります。

これは関節周囲の組織がまだ治療途中であるため、過度な負荷が関節や半月板に悪影響を与える可能性があるからです。

また痛みがまだ残る場合、無理をすることも注意が必要なため入院期間中は理学療法士や作業療法士の指導の下でリハビリを進めることが重要です。

OT:はるまき
OT:はるまき

しっかりと状態を見て、コミュニケーションを取りながらリハビリを行っていきますよ!

では次に、実際の人工膝関節置換術に対するリハビリテーションの内容もご紹介していきますね。

人工膝関節置換術に対するリハビリテーションの内容

人工膝関節置換術に対するリハビリテーションのイメージ図

人工膝関節置換術を受ける場合、手術前や手術直後からのリハビリテーションが大切です。

ここでは手術前や手術後、また退院後に分けてどのようなリハビリを行うといいのか具体例をご紹介しますね。

手術前にするリハビリ

人工膝関節置換術後の回復をスムーズにするために、手術前からリハビリを行うことは非常に重要です。

理学療法士や作業療法士の指導の下で、以下のリハビリを行いますよ。

【人工膝関節置換術の手術前のリハビリ内容の例】

●膝関節周囲の筋力を強化するトレーニング

●膝関節の柔軟性を高めるストレッチ

●持久力を高めるための自転車エルゴメータ

●手術後の移動手段獲得のための車椅子駆動の練習や歩行器を使用した歩行練習

PT:あおさ君
PT:あおさ君

また術後のリハビリが効果的に行えるように、事前に生活様式(和式生活や洋式生活、家の階段や段差の高さなど)の聴取を行いますよ。

手術後にするリハビリ

人工膝関節置換術後のリハビリは早期から開始することが推奨され、早い所では手術をした当日からベッドサイドでリハビリが開始されます。

【人工膝関節置換術の手術後のリハビリ内容の例】

●手術部のアイシング

●膝関節の柔軟性を高めるストレッチ(膝関節の最終目標可動域120°~140°)

●膝関節周囲の筋力を強化するトレーニング

●状態に合わせて座位~立ち上がり、歩行練習

●生活状況に合わせた段差・階段昇降の練習

●持久力を高めるための自転車エルゴメータ

●生活動作の指導

PT:あおさ君
PT:あおさ君

最初は痛みや炎症を和らげるための軽い運動からスタートして、その後は徐々に関節の可動域を広げる運動や、歩行訓練に移行していきます。

OT:はるまき
OT:はるまき

入院期間の後半は歩行器や杖を使用しながら、日常生活動作の回復を目指していきますよ。

退院後にするリハビリ

病院での入院生活が終わり、自宅に戻った退院後もリハビリを続けることが大切です。

自宅でのリハビリでは関節のストレッチや筋力トレーニング、そして散歩などの軽い有酸素運動が含まれます。

必要に応じて退院後も外来リハビリに通ったり、運動を継続できる機会を作ったりすることで機能の回復が促進され、早く日常生活に戻ることができますよ。

PT:あおさ君
PT:あおさ君

退院した後のリハビリ中に痛みを感じる場合は無理をせず、必ず専門家に相談してくださいね。

では次に人工膝関節置換術の手術を受けた場合、日常生活で注意することについても詳しく解説していきますね。

人工膝関節置換術の手術後の生活で注意すること

人工膝関節置換術の手術後の生活で注意することの図

人工膝関節置換術の手術を受けるとこれまであった膝の痛みが軽減したり膝の動きがよくなったりするメリットもありますが、膝関節の可動域には制限があるため日常生活での注意点もあります。

ここでは人工膝関節置換術を受けた後に日常生活の中で気をつけたい動作や留意点について詳しくご紹介しますね。

日常生活で気をつける動作

まず人工膝関節置換術の手術後数週間は膝を過度に曲げたり負荷をかけたりする動作を避ける必要があります。

例えば椅子から立ち上がるときや階段の昇降など、膝に大きな負担がかかる動作は徐々に取り入れていくことが求められます。

またリハビリにて膝の可動域が改善しても最終的に正座ができる人はごくまれであり、人工関節に負担をかけないためにも正座は避けた方がいいですよ。

さらに床からの立ち上がりなども関節に負荷がかかるので、布団よりもベッドの利用がおすすめです。

OT:はるまき
OT:はるまき

手術後も車や自転車の運転はできますが、自転車では深く踏み込むことや転倒しないように十分注意してくださいね!

その他、完全に治癒するまでの期間には重い物を持ち上げたり、激しい運動を避けたりすることが推奨されます。

人工膝関節置換術を受けた方がスポーツや高強度の運動を行う場合は、医師と相談の上で行うようにしましょう。

日常生活での留意点

人工膝関節置換術の手術後は特に感染症や血栓のリスクがありますので、感染予防として傷口を清潔に保ち、適度な運動や歩行などを行うことが推奨されます。

退院後も家庭でできるトレーニングや散歩などを日課にして膝の筋力を強化することが大切ですが、痛みがまだ感じられる時には無理をせず、必要であれば病院で再度医師の診察を受けることをお勧めします。

また長時間同じ姿勢でいることを避け、適度に休憩やストレッチを行うようにしましょう。

人工膝関節置換術の日常生活のポイント

・膝の過度な負担を避けるため、正座は避ける

・椅子やベッドなどの洋式生活を取り入れる

・激しい運動・高強度の運動は避ける(医師に相談をする)

PT:あおさ君
PT:あおさ君

適切なリハビリの継続で機能回復が期待できますので、自身の回復スピードを見ながら無理のない範囲で取り組んでみてくださいね。

変形性膝関節症|人工膝関節置換術と効果的なリハビリについて徹底解説!のまとめ

この記事では、変形性膝関節症で行う人工膝関節置換術について、またリハビリの内容や手術後に日常生活で注意することなどをご紹介しました。

人工膝関節置換術は変形性膝関節症や関節リウマチによって膝関節の機能が制限され、生活の質が低下した場合に非常に有効な手術です。

この人工膝関節置換術は損傷した膝関節を人工の金属やプラスチックで置換することで、痛みの緩和や機能の回復を目的としていますよ。

そして人工膝関節置換術の手術前および手術後のリハビリが重要で、理学療法士や作業療法士によって筋力トレーニングや関節の可動域訓練などを行います。

特に術後早期からリハビリを始めることで効果的な回復が期待でき、日常生活につなげていきますよ。

また手術後の日常生活では、感染予防や適切な姿勢の維持、リハビリの継続なども大切です。

手術で不安な点もあると思いますが、人工膝関節置換術を受けることで多くの方が痛みから解放され、快適な日常生活を取り戻していますよ。

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